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Chopin et Moi ① 国際ピアノコンクールを聴く 〜ショパンとヨーロッパの舞台から〜

  • 執筆者の写真: Marie
    Marie
  • 10月6日
  • 読了時間: 13分

 第19回ショパン国際ピアノコンクールがいよいよ始まりましたね🎵

 2021年の前大会(第18回)では、反田恭平さんや小林愛実さんが入賞して大変話題になりました。もう4年も経つのかと思うと、時の過ぎる速さにびっくりします😳

 実は前大会、私はファイナル初日(反田さんが2位を受賞した演奏をした日です!)を現地で聴いていました🎹なんと奇跡的に今大会もチケットが手に入り、来週から10日間ほど、ショパンコンクール聴講の旅に、いざポーランドに行って参ります🇵🇱✨

 さて、このブログでは、ショパン国際ピアノコンクール開催に合わせて【Chopin et Moi 】と題した記事を10月中、3回に渡って掲載する予定です。第一弾の今回は、まず前大会のレポートをし、続いて、ヨーロッパでのその他の国際ピアノコンクールの話題や、子どものためのショパンコンクールに触れていきたいと思います。ご興味のある方は是非最後までお読み下さい😉


 本題の前に、この度、10歳の頃に演奏したショパンの『ポロネーズ嬰ト短調遺作』を公開しました(この演奏動画は第二弾の記事に繋がっていきます)😳

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ずっと限定公開にしていたのですが、先日収録したばかりのショパンの曲の演奏動画(近日中にアップロード予定)に結びついていくこともあり、思い切って公開してみました🤭ご興味のある方はぜひご視聴ください♩


 それでは、まずは、2021年のショパン国際コンクールの振り返りです。



2021年ショパンコンクールの思い出


 当時は未だコロナ禍の真っ只中で、2020年開催予定の大会が1年延期され、2021年の段階でも、観客を入れるのか、無観客で開催するのか直前まで決まっていない状態でした。そもそも私はチケットも取得できておらず、一次からファイナルまでYouTubeで鑑賞する予定でした。

 日本の友人の中には、チケットは持っているけれどコロナ禍の規制により現地で聴くのは難しそう、今回は諦める......といった悲しいメッセージもあり、胸が痛かった記憶があります。当時はまだ色々と渡航に制限が掛かっていた時期でしたので、日本からの鑑賞ツアーなども軒並みキャンセルとなっていたようです。


 私はといえば、練習やレッスンの移動の合間にYoutubeで予選を鑑賞していたのですが、もしあの会場で生演奏を聴けたとしたらどんなに幸せだろうかと、心のどこかで思っていました。生徒さまの中にも「聴きに行ってきた!」という方がいたり、仲良しのピアニストの友人からも反田くんの二次予選(名演と言われているステージです😉)を聴きに行ったという話を聴いたりして、嗚呼、叶うならば私も行きたい🥹と強く思った時には、時すでに遅し。もう三次の途中あたりでした......。

 三次予選には日本人勢の中で、角野隼人くんも残っていました。実は、パリ留学最初の3年間、国際大学都市に住んでいた頃、角野くんも同じ大学都市に数ヶ月滞在していた時期がありました。当時は、私が日本館で演奏するコンサートに足を運んでくれたり、たまたま帰り道、電車で一緒になる時もあって、沢山話をさせて頂いたこともありました。今でこそ「かてぃん」として一躍時の人になって雲の上の存在ですが、角野くんは当時パリで出会った大切なピアニストの仲間でもあります。角野くんの応援も兼ねて、現地で彼の演奏を聴けたらいいな~と、淡い期待を抱いていたのでした。

  三次予選も終わり、ファイナリストが発表されるかどうかという時にショパンコンクール公式からファイナルの鑑賞チケットが少しだけ開放されるという噂を入手。その日、時間ぴったりにアクセスすると、奇跡的に予約に成功!😱しかも取れたチケットはファイナル初日でした!急いで飛行機・ホテルを予約し、急遽ワルシャワ一人旅が決定しました✈️結果的には、残念ながら角野くんはファイナルに駒を進めることが叶わなかったのですが、反田くんを始めとする4名のファイナリストのピアノコンチェルトを聴くことができました。


ファイナル前日(10月17日)


 ワルシャワに到着した10月17日はショパンの命日。夜には毎年、聖十字架教会で追悼ミサがあります。空港から追悼ミサの時間までは少し余裕があったので、閉園ギリギリのショパン博物館へ駆け込みました。2016年頃に訪れたときと比べて展示がリニューアルされており、ショパンの直筆の楽譜や手紙などがじっくり見られるようになっていた気がします。※このあたり、今回の滞在でまたしっかりリサーチしてこようと思います🫡

 その後はポーランド伝統料理を楽しみつつ、当時マイブームだった「ピアノの森」をNetflixで観てゆったり過ごしていたら🍴、あっという間に追悼ミサ開始30分前になってしまいました😱急ぎ教会に向かうと、すでに人で溢れかえっていましたが、周りの方々の優しさもあって運良く中心部の立ち見スペースに場所を見つけることができました。荘厳で静謐な雰囲気に包まれた空間であることは勿論ながら、一つの教会に沢山の人や中継用のテレビカメラが集まっており、コロナ禍の当時、大勢の人がいるという事態そのものが久々であったこともあってか、ドキドキと胸の高鳴りを感じました...…✨



ファイナル当日(10月18日)


 〜会場入り前〜


 いよいよファイナル初日。開演は夜だったので、それまでの時間はワルシャワの街をゆっくりと歩き、見どころを巡りました。

 特に印象的だったのはワジェンキ公園ウヤズドフスキ公園。紅葉真っ盛りの季節で、足元には一面に落ち葉が広がり、まるで絵画の中を歩いているようでした。暖かく天気にも恵まれ、水面には宮殿や木々が美しく映し出されていました。


 公園の片隅でふと立ち止まると、誰もいない静寂の中に木々のざわめきと鳥の声だけが響き渡り、その瞬間、心の奥でショパンの音楽が鳴り出したかのようでした。散歩道ではバラードを聴きながら、ファイナルを聴かずにこのままパリに戻ってもいいくらい、すでに満ち足りた気持ちになっていました😂

 

 ワルシャワの街中は、ショパンコンクールの特集が流れ、横断幕も掲げられて「お祭りムード」一色に見える一方、公園ではお子様連れの方やご年配の方がのんびりと散歩しているだけの落ち着き。観光客らしき人もほとんど見かけず、そこには地元の人たちの日常がありました。

 その後は、公園でリスを見つけては夢中で追いかけたり、カフェでひと休みしたり。日が傾いてきた頃には再び旧市街を散策し、昨夜は人であふれていた教会にもう一度立ち寄りました。今度は自分ひとりだけの空間で、静かにショパンと向き合うことができました。

 

 〜いよいよ会場へ!〜


 開場と同時に入るつもりで少し早めに到着。

 このあたりからは音楽関係者の姿も多く見え、自然と身が引き締まります。運よく2, 3番手くらいで入場でき、まだ人が少ないロビーホールや客席を見渡しながら写真を撮ったり観察したり。YouTubeの生中継でいつも見ていたインタビュースペースや審査員席、オーケストラピットの間近なども歩いて回り、探検気分で自分の席へ。開演の合図は「除夜の鐘」みたいな音でした笑。

 




 一番の楽しみは、もちろん 反田くんのコンチェルト

 トップバッターのポーランド人奏者から、すでに「この瞬間を1秒たりとも無駄にしない!」という気持ちで前のめりになって聴いていました。座席は二階席の真下あたり。いざ演奏が始まり最初に思ったのは――「あれ、ピアノの音が意外と届いてこない......?😰」でした。

 続いて大会時17歳という若さだったハオラオくん。フレーズひとつひとつをとても丁寧に歌い上げており、その音楽性に魅了され、一気にファンになりました。ところが残念なことに、演奏の最中に客席の誰かの携帯アラームが大音量で鳴ってしまいます🤯国際コンクールという舞台で携帯の電源を切り忘れるなんて、緊張感の欠如どころか、この場に対するリスペクトがないのではないかと愕然としてしまいました。演奏者がこの舞台のために時間を惜しまず、どれだけの努力を重ねてきていることか。どれだけの人が一瞬一瞬を大切に演奏を聴いていることか。また、世界中には、このコンクールを現地で聴きたくても叶わない人がどれほどいることか......。アーカイブを確認すると、小さくアラーム音が入っていましたが、実際に会場で聞こえた音はかなり大きく、オーケストラの奏者もハオラオくん本人も思わず客席に目を向けるほどでした。今大会ではマナーが守られることを願うばかりです。 

 そして待ちに待った反田くんの登場。同年代の日本人がこの大舞台に立っている姿を目の当たりにするだけで胸がいっぱいになり、なぜか自分まで緊張してきて(弾くわけでもないのに......笑)、40分間のコンチェルトを終始手に汗握りながら聴きました。終演後は大きな安堵感と感動で、しばらくぼーっとするほどでした。


 正直な感想を言うと、もっとピアノの音がオーケストラに埋もれず届いてきてくれたら、感動もなお一層大きかったかもしれないと思いました。ただ、後日アーカイブで改めて聴いた演奏は圧巻で、やはり歴史に残る名演を目の当たりにしたのだと実感しました。アーカイブに小さく自分の姿も映っていて、テンションが上がりました✨

すっごく小さいけど笑
すっごく小さいけど笑

 さらに後日、パリの友人とショパンコンクールの感想を話し合った際、彼女も同じように二階席の下から反田くんの演奏を聴いており、「音があまり自分の席まで届かなかった」とのこと。座席によって聴こえ方が大きく変わるのでは?という話に。


 ちなみに、来週のショパンコンクールは前方の5列目の中心部に近い席を確保済みです😉音響的に一番良いのは二階の審査員席あたりだと言われていて、反田くん自身も「二階の審査員席からどう聴こえるか」を研究して音色を作っていた、という話を耳にしたこともあります。とはいえ、コンクールを会場内で聴けるだけでも奇跡のようなこと。今回は前回とは違う座席で、この空間を全身全霊で味わってこようと思います!


 反田くんのコンチェルトが終わり、ホッと一息ついたところで、続くアルメッリーニさんの演奏もまた素晴らしく、後から彼女の一次から三次までの演奏を改めて聴き返すと、非常に学びの多い解釈が多く、何度もリピートするほどでした。ファツィオリのピアノとの相性も抜群だったのかもしれません。



大会を通じての応援とその後


 ファイナルを聴いている間は、まるで出演者のご家族の次くらいに緊張していたのではないかと思うほどで、終始アドレナリンが出っ放し笑。感無量で、その場に居られること自体が幸せでした。

 また、当時のショパンコンクールでは、特に小林愛実さんを強く応援していました。パリに戻ってから、彼女のコンチェルトをYouTubeで見守りました。ショパンの音楽を深く理解し、作品の中に自分の色を重ねていく姿は本当に見事で、2015年大会から再び大舞台に立つまでの長い努力と歩みを感じさせるものでした。特に弱音での美しい音色やフレーズの繊細な歌い回しには、思わず息をのむような瞬間があり、画面越しであっても胸の奥に直接届いてくるものがありました。


その他近年開催されたヨーロッパの国際ピアノコンクール

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 ここ数年、ヨーロッパ各地で開催される国際ピアノコンクールを現地またはYouTubeで鑑賞する機会が多く、実際にパリで行われたロン=ティボー国際コンクールには2022年、そして今年2025年も足を運びました。知人の快挙に胸が熱くなる場面もたくさんありました。


 まず、パリで開催されるロン=ティボー国際コンクール。2023年に亀井くんとHyuk Leeくんが同率優勝した年には、私もセミファイナルとファイナルを会場で聴くことができました。このときの亀井くんのサン=サーンスのコンチェルトは本当に素晴らしく、一生記憶に残り続ける名演だったと思います。正直に言うと、ショパンコンクールのファイナルを聴いたとき以上の感動であったといっても過言ではありません。この時は自由席だったのですが、早めに並んだこともあり、開場と同時にホールに入れたため、一階席のど真ん中の席に座ることができました。演奏が始まった瞬間、なんて美しい音色なの〜と、観客のフランス人たちが思わず声を漏らしてしまうほどで、音がピアノから鳴るというよりもホール全体を包み込み、上からキラキラと降り注いでくるかのようでした。この経験は一生忘れられないと思います。

 

 今年開催されたロン=ティボーのファイナルも大変感動しました。偶然にも隣の席が生徒さんご一家で、後ろや二階席にも沢山の生徒さんがいて、こんなに小さいときから一流の国際ピアノコンクールを間近で見られるなんて、とっても贅沢!と思いながら、皆で鑑賞しました😅

 優勝者の韓国人ピアニストSaehyun Kimくんによるラフマニノフのピアノ協奏曲第3番は圧巻で、曲の壮大さと果てしなさに目眩がするほどで、感動のあまり涙がこぼれました。

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 また、ここ数年は留学同期のピアニストの活躍も目覚ましく、私も含め留学を始めてちょうど10年ほどの節目のタイミングの仲間が多いのですが、皆、大舞台で輝いており、心から尊敬の気持ちで一杯になります。

 その中でも久末航くんの快挙は特筆すべきものでした。彼は、国際大学都市の演奏家枠での正規居住者の同期の一人で(親友の坂田奈緒子ちゃん、難民支援コンサートでも共演したヴァイオリニストの小島燎くん、そして久末航くんという4人でした)、もう7、8年近くも前のことになりますが、その頃からとても優しい穏やかな印象の方でした。その後、ベルリンに拠点を移し、ついに今年エリザベート王妃国際コンクールで第2位という快挙を成し遂げました。


 さらに、私が個人的にも特に応援している務川慧悟くんも、少し前にはなりますが、2021年エリザベートで3位、2019年のロン=ティボーで2位という素晴らしい成績を収めました。彼もパラスキヴェスコ先生に師事していた経緯や、その他にも繋がりがあり、何度か個人的にお会いさせて頂く機会がありました。シャイな人柄ながらも、気さくに話をして下さる大変丁寧で素晴らしい方です😌


子どものためのショパンコンクールについて


 ここからは、指導者としての立場から子どものためのショパンコンクールにも少し触れてみたいと思います。


 まずご紹介したいのは、スイスの「子どものためのショパンコンクール」

ピアニストのアルゲリッチ氏も携わる、私が調べた限りでは最高クラスでハイレベルなコンクールであると思います。コンクール参加のためのプログラムも膨大で、本大会に参加するためのビデオ審査も相当狭き門であると感じます。

 開催の数か月前にはこのコンクールの主催者であるMagdalena先生や海老彰子先生によるマスタークラスがスイスで行われ、私の生徒さまの一人も昨年最年少で参加しました。大変有意義な経験となり、音楽的に大きな刺激を受けたようです。


参加した生徒さまから頂いたお写真。シゲル・カワイが2台並ぶ贅沢な空間でのレッスン。素敵です!
参加した生徒さまから頂いたお写真。シゲル・カワイが2台並ぶ贅沢な空間でのレッスン。素敵です!


 続いて、ポーランド・シャファルニアの「子どもと若者のためのショパンコンクール」

こちらは本家のショパン国際コンクールとも連携しており、ショパンゆかりの地で開催される大変権威ある大会です。将来ワルシャワで行われる「大人のショパンコンクール」への第一歩となる舞台とも呼ばれており、ここでの経験は非常に重要なようです。


 さらに、過去のブログでも触れたことのある ロンドンの「子どものためのショパンコンクール」

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こちらには生徒さまが出場されたため、私自身も現地で聴講しました。会場はハイドパーク近く、ケンジントン宮殿のそばにある素敵なポーランド・レストラン内の施設。期間中には王立音楽大学の練習室を利用できるなど、参加者へのサポートも手厚く、素敵な大会でした。


 このように、子どもから大人まで、規模の大小にかかわらず世界各地に沢山のコンクールが存在します。しかしやはり、ワルシャワで開催されるショパン国際コンクールの特別感は格別であり、唯一無二の舞台であることに疑いはありません。



 YouTube上では『エオリアンハープ』や9歳の時分に弾いたショパンの『ノクターン』などをアップロードしておりますが、【Chopin et Moi】第二弾では、今回の10歳が弾く『ポロネーズ』に続き、あの大曲 を公開予定です。なんの曲か、想像しながらお待ちください🎶また、それに合わせて幼少期から今までショパンにどのように向き合ってきたか、はたまたショパンに対する想いなどを深堀りした記事を掲載予定です。どうぞお楽しみに✨

 
 
 

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