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Suite bergamasque ~冬の夜に《ベルガマスク》全4曲と向き合って~

  • 執筆者の写真: Marie
    Marie
  • 3 日前
  • 読了時間: 6分

更新日:3 日前



 12月はドビュッシー《ベルガマスク組曲》をYouTubeにアップロードしていきましたが、昨日の《パスピエ》をもって無事に完結となりました🎭🕯️


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※画像をクリックで視聴リンクにアクセスできます☺️🔗


 大人の生徒さまからも「《ベルガマスク組曲》を勉強してみたい」と伺うことが多く、この組曲は大変人気のある作品なんだと感じております。私自身としても、以前から演奏を動画として残しておきたいと考えており、今回、ようやくそれが叶ったことになります✨


 これまで、欧州でのコンサートでは組曲の一部を演奏することは度々ありましたが、全4曲を揃えて演奏したのは今回が初めてでした。中でも2曲目の《メヌエット》は完全に「初出」となりました。これまで演奏してきた3曲に劣ることのないように、限られた時間の中ではありましたが、今回、特に深く向き合った一曲でもあります。


 先ほど、《ベルガマスク組曲》は大人の生徒さまに人気が高いと書きましたが、中でもとりわけ人気があるのは《月の光》。次に《プレリュード》が続きます。


 ここでは、一番人気の《月の光》の指導において、私がどの生徒さまにも必ずお伝えしていることを少しだけ書き記してみたいと思います。


 この曲を作り上げていくにあたって大事なこととしては、もちろん、タッチや響きを丁寧に作り上げていくこともあるのですが、それとは別に、特にアルペジオの弾き方がキーになります。次のことを生徒様と丁寧に話し合いながら決めていきます。


・ご本人が思い描く《月の光》のイメージ

・どんな演奏にしていきたいか


《月の光》のアルペジオの弾き方には大きく分けて二つの奏法があるのですが、これらの点をヒアリングしながら、どちらのスタイルを選択していくのかを決めていきます。まずは、以下の楽譜をご覧下さい(スマホなどの場合には横スクロールでご覧下さい)。



楽譜上のギザギザのアルペジオ記号は左右で分かれて書かれているため、譜面通りに演奏する場合は、"右手の親指と左手の小指を同時にスタートさせ合わせて弾く"形になります。

(ここではこれを仮に「Aの奏法」とします)。


ところが、現在世の中に出ている録音やコンサートで耳にする演奏の多くは、ギザギザが左右で合わさっているかのような、“下から順々に弾く”形(以下「Bの奏法」)が主流です。


この「Bの奏法」に私は少し違和感を覚えることがあります。「もっと譜面通りにAで弾いている演奏があっても良さそうなのにな……」と。ちなみに、私の師匠であるパラスキヴェスコ先生からは譜面通りAで演奏するように指示されました。


とはいえ、必ずしも私自身が「Aの方が良い」と思っているわけではありません。


・その時のピアノ

・演奏する空間

・前後の音楽の流れ


などによって、柔軟に変えていくべきだと考えています。


Aの奏法は、譜面通り同時に音を合わせることで、よりスマートな印象になりますが、Bの奏法だと、よりハープのように聴こえるのでそれも魅力的です。


これらを踏まえたうえで、さまざまな演奏を聴きながら自分好みのアルペジオを見つけたり、「自分が演奏するならどれが一番しっくりくるか」を研究していくことが大切だと思います。


 この、好みの奏法探しですが、写真左のように4連続で続くアルペジオの場合、例えばすべてを統一する必要は必ずしもなく、「3つ目までA、最後だけB」という選択も私はアリだと考えています。


 また、曲の最後のアルペジオも、写真右のように左右が分かれているため、譜面上は本来Aの奏法になるわけですが、実際にはほとんどの方がBで演奏している印象を受けます。とはいえ、譜面を尊重して左右を綺麗に調和させることが出来れば、Aも非常に素敵な選択肢になります。


 生徒さまには、巷に出回っている録音や演奏がBの奏法であるから「当たり前にB」と決めつけることはせず、まずは本来の譜面通りのAの奏法も必ず試していただいています。A、Bどちらの奏法で弾いたとしても、アルペジオのスピード感によって印象がだいぶ変わってくるので、生徒さまそれぞれが持つタイミングやテンポ感、前後の流れの中で、最もしっくりくる形を一緒に探していくということになります。


 難易度としては、Aの方が音の重なり方によっては不自然に聴こえてしまうこともあって、Bよりも圧倒的に難易度が高い奏法です。成功すれば非常に美しいのですが、本番ではややリスクを伴う面もあると感じています。ちなみに過去の私自身のコンサート映像や録音を振り返ってみると、残響の多い会場では、譜面通りAで弾いているアルペジオが多いです。


 では、今回アップロードした動画ではどのように演奏しているのか——。

 それはぜひ、YouTubeの動画でご確認いただけたら嬉しいです😌

 1880年製ベヒシュタインは音の減衰が非常に早いという特徴があるため、その点も考慮した演奏となっています。


 さて、《月の光》ですが、演奏と指導その両方に於いて最も難しいのは「テンポ感」だと思います。中間部の Un poco mosso に入った途端、テンポが極端に前のめりになってしまう演奏はとても多く、私の師匠もそれを嫌っていました。


 冒頭1ページのテンポ感も非常に難しく、ここの弾き方は本当に人それぞれで、個性が最も表れる部分でもあります。「ゆっくり弾けば良い」というわけではなく、むしろ遅くなりすぎると音楽が停滞して聴こえてしまう恐れもあります。《月の光》はテンポに於いても、きめ細かさを要求する作品であると言えます。


 私個人は、平均的な《月の光》の演奏よりもやや遅めを選びつつ、左手のアルペジオを“ハープのイメージ”で、押し付けず、撫でるように演奏しています。その際に心がけているのは、決して重くならずに絶え間なく音楽が流れ続けることです。


 《月の光》は、あまりにも有名で、数えきれないほどのコンサート映像やCD録音が存在するだけに、自分ならではの演奏を見出すのも難しく、実は、ドビュッシー作品の中でも、そこまで好みではありませんでした。(「でした」、です。)


 このブログだけで秘密を公開するとしたら、《ベルガマスク組曲》全4曲の中で一番好きなのは《パスピエ》。2位・3位が《プレリュード》と《メヌエット》、そして4位が《月の光》です😛笑(1〜3位はその時の気分で入れ替わります笑)


 そんな私にとっての《月の光》ですが、先日、その印象を大きく変える出来事がありました。それは、1929年製ベヒシュタインピアノに出会ったことです。


 実はこの12月、自宅の1880年製ベヒシュタインでの撮影のほかに、パリのロケーション・スタジオで、全4曲通しの演奏も撮影しました。そこで使用したのが、1929年製の Demi サイズBモデルのベヒシュタインです。動画は、年明けの一本目としてアップロード予定です。

 このピアノとの出会いは、本当に運命的で、私と《月の光》の関係を大きく変えてくれました。(お写真を一枚だけ📸↓)

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年明けすぐに、1929年製ベヒシュタインでの《ベルガマスク組曲全曲》動画をアップロード予定です!!


 その際に、このピアノについて、また《月の光》との関係がどう変わったのかついても、改めてブログでお話しさせていただきます。どうぞお楽しみに🤍


 2025年も沢山の応援を頂きまして有難うございました。

 皆さま、どうぞ良いお年をお迎えください✨

 
 
 

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